最近見た映画:The Kite Runner2008/07/29 20:42

アフガニスタンの出張について、ここにはあまり書いていませんでしたが、実は初めてアフガニスタンに行って、私にはかなり「びびっ」とくるものがあったのです。ベトナムに初めて行った時もそうでした。何かこの国が私にとって特別なものになる、そういう直感のようなものです。

それで、帰ってきてから遅ればせながらアフガニスタン関連の本を買いまくったりしているのですが、昨日は映画を見てみました。この映画の原作は、出張中に私たちの面倒をみてくれたフランス人の国連スタッフが「あれはよく書けていた!」と太鼓判を押していたもの。彼女は5年もアフガニスタン各地に住んでいて、「2週間ぐらい観光客としてカブールにいただけの人が沢山本を書いていて、いただけない」と嘆いていたぐらいなので、まあ信頼できるかと。

邦題に直訳したら「凧揚げをする人」でしょうか。これから見る人のためにあまり筋書きは書きたくないのですが、当たり障りのないように言えば、ソビエトの侵攻を逃れて、アメリカに移住したアフガニスタン人の青年が、友達の息子を探しにタリバン政権時代のアフガニスタンに行くというのが一番のハイライトです。アフガニスタンの文化、歴史を含めたすごく丁寧な描写はもちろんのこと、この青年とその家族をとりまく関係がまた感情豊かに書かれていて、めっちゃ泣けます。映画を見てこんなに泣いたのは久しぶり。っていうか、映画見たこと自体が久しぶりだけど。

カブールにいた時は、カブールの外にはいかなかったのはもちろん、市内でも国連の車以外の車で移動することは禁じられていたため、自由に歩いたりはできなかったので、映画でカブールの様子を見て、こんな感じだったのかあ、と思いました。でも、アフガニスタンのシーンの撮影は中国でされたそうです。ちなみに、この映画はタブーとされるシーンがあるため、アフガニスタンでは上映禁止になっているそうです。

映画の話とはちょっとずれますが、この映画を見終わって、私の最近の「養子もらいたい熱」がまた高まってしまいました。前にも書きましたが、ジュリを妊娠する前から、私とピーターは養子をもらいたいねえ、と話していたのです。アフガニスタンの子供もいいかも。ちょうど場所的には日本とヨーロッパの間だし。1人でも悲惨な境遇にいる子供を自分の家族として育てることができたらなあ。でも一方で、例えば孤児院に行って、1人を選ぶってできるだろうか、とも思いました。映画に出て来る孤児院の院長が言ったように、「あとの200人はどうなるんだ?」と言われると返す言葉が見つかりません。出張中、カブールで物乞いをしている女性のほとんどが赤ん坊を抱えていたのですが、どの赤ん坊も寝ているのです。前述の国連スタッフによれば、この赤ちゃんたちはみんな阿片中毒にさせられているとか。アフガニスタンは世界的なケシの産地で、阿片をあげておけば泣かないですから。とてもやるせない気持ちになりました。

だらだらと長くなってしまいましたが、とにかく社会派の人間ドラマ、アフガニスタンのことがもっと知りたい人にはお勧めです。なかなか素敵なウェッブサイト(www.kiterunnermovie.com)もあるので見てみて下さい。