最近のジュリウス:お絵描き2008/08/02 10:11

最近のジュリはお絵描きに夢中です。朝、早起きすると、一人でリビングルームへ行って、そこらへんにある紙とペンを見つけてお絵描きを始めるぐらい。そして毎日少しずつ、描くものが複雑になっている感じ。

写真の絵は、今朝ジュリが描いたもので、真ん中にある大きいのが飛行機です。そこから階段があり、ジュリ曰く「パパとママとジュリウスとセバスチャン(ジュリの友達)」が飛行機から降りて来たところ。ちょと逆さまみたいになっている車が私たちをターミナルに連れて行くべく、待っています。車のとなりにいるのが黄色いかたつむり。その上にあるジャガイモみたいに見えるものは「トレジャー」(宝物)だそうです。最後に上の太陽の横にあるのは、ジュリは自分でも何かわからないとか。

かなり芸術的だ!と思うのはやっぱり親の欲目ですかね…。

夏休みから戻りました。2008/08/23 18:07

先ほど、3週間の夏休みから戻ってきました。昨年に続いて、今年もアルプスの山々で過ごす日々で、ハイキングを沢山して、のんびりできました!まず最初はスイスのツェルマットで2泊。ここではお天気に恵まれて、写真のように、あまり見えないことが多いというマッターホルンがすごくきれいに見えました!しかしこの町は日本人が多くてびっくりでした。ケーブルカーのアナウンスメントも日本語あるし。

次に、同じくスイスのアローザで4泊。私の両親も東京から合流して、皆でジュリの4歳の誕生日をお祝いしました。アローザでもお天気に恵まれて、ハイキングを楽しみました。

両親と別れて、第2週目はオーストリアのチロル地方のツェルタールという谷の山小屋1軒をまるまる借りて、自分たちで料理をする1週間。山小屋はすごく眺めがいいところで、4ベッドルームもあり、のびのび、のんびりしました。ここにいた間に、2回、温水プールにも行き、プール大好きのジュリはご機嫌でした。でも、この温水プールにあった滑り台でピーターは足を捻挫。かわいそう…。

第3週目はチロルを離れ、オーストリアでも一番スイスに近い地方にあるファミリー向けホテルで1週間。ここはホテルに幼稚園のようなサービスがついていて、ジュリを朝9時から午後3時までと、夜6時から8時まで預かってもらえました。ジュリは最初は行くのを嫌がったけど、すぐに慣れて、子供向けにいろいろ準備されたプログラムを楽しんでいたみたい。私は、ジュリがいないとなんか寂しいよー、と思ってしまい、「せっかく2人の時間が持てるのに!」とピーターからひんしゅくをかっていました。

全般に、大きなトラブルもなく、お天気にも恵まれ、とても楽しい3週間を過ごせました。私たち、やっぱりビーチよりは山の方が好きなのかも。来年の夏も、またアルプスでもいいよねえ、と今から話しています。ジュリがスキューバーダイビングできるようになったら、また海にも行きたいですけど。

しかし、戻って来たらトリノは暑い!3週間ずっと涼しかったので、耐えられるかなー。

最近読んだ本:"The Places in Between" by Rory Stewart2008/08/24 10:22

休暇中は、たまっていた読みたい本を読むチャンス、という訳で、これは休み中に読んだ本のうちの1冊。前述した私のメンターであるニュージーランド人のジュディスのお勧めで読み始めましたが、期待を裏切らない面白さで、一気に読めました。

筋書きを簡単に言えば、イギリス人の歴史学者である著者が、タリバン陥落後間もないアフガニスタンを冬の雪の中、ヘラート(イラン近く、西部にある町)から首都カブールまでを36日間かけて歩いて横断する過程を書いたものです。私は、普段は旅行記ってあまり読まないのです。というのも、旅行記って、著者が自分の印象を誇大解釈して、その地域や国を一般化して語ってることが多いような気がして。もちろん、そうでない本も多いと思いますが、私はついつい「私が同じような境遇にあったら、同じように思うだろうか?」と疑問に思ってしまい、話に入り込めないことがよくあります。でも、この本は違いました。著者のRoryのアフガニスタンに対する視線はとても謙虚で、しかも正直。村人の好奇心にうんざりしたり、危険な場面でまさに生き延びるために交渉したりする様子から、変にアフガニスタンを美化していないのがわかり、ひきつけられて読みました。

私がこの本で1番面白いと思ったのは、Roryの旅を通じてアフガニスタンの歴史と文化の複雑さを少しでも理解できたこと。カブールへ出張に行った時、アフガニスタン各地に5年も住んでいる国連職員に「アフガニスタンの魅力って何?」と聞いたところ「うーん、どこまでいっても理解できた!と思えない複雑さかなあ。数年アフガニスタンに住んで、沢山のアフガンと知り合って、そろそろこの国が理解できたか、と思う度にその気持ちを裏切るようなことに出会うんだよね。」と話してくれましたが、そんな彼女の気持ちが少しでも共有できたかも。ソ連侵攻、英米によるタリバン政権転覆という最近の歴史の複雑さに加えて、パシュトゥン、ハザラ、タジク、ウズベク等々、民族的にもとても複雑。Roryの旅した山岳地帯では、特に交通や通信の便が悪いため、様々な民族が孤立した状態で、まさに生き延びるためにいろいろな政治勢力と協力したり戦ったりしている。こういう状況で、アフガニスタンを一つの国としてまとめていくのは相当大変なことなんだなあ、と改めて思いました。

文化面の複雑さは特に興味深く、いくつもの国に支配された地域ならではの多様性がこの地域を文化的に豊かにしているんだろうと思いました。ジンギスカンの祖先だと言われ、アジア人の顔をした、少数派のイスラム教シーア派のハザラがいたり、歴史的には、バーミヤンの仏像に代表されるような仏教徒もいたり、さらにインドとの交流を通じて、ヒンズー教の影響もあったようだとか。Roryは、ウズベキスタン出身で、カブールからインドに入って、ムガール朝を気づいたバーブルが16世紀に同じヘラートからカブールまでを旅した時の記録を自分の旅と重ねていて、歴史的な視点から文化をみられるのも面白かったです。

開発という自分の仕事と関連したところでは、国連は直接批判されてはいなかったものの、この本の中ではあまりポジティブな印象はありませんでした。MSF(国境なき医師団)の方が、一番過酷な所まで入っていって援助をしているという印象。それから、後半のフットノートの所にちらりと書いてあった、植民地支配に関する記述は面白いと思いました。Roryは植民地支配に賛成している訳では全くありませんが、彼曰く、植民地時代に各国に駐留していた支配者たちには、明らかな責任があったということ。本国に対しては、植民地での経済活動で利益をあげて、歳入の面で貢献しないといけないし、そのためには、国内を政治的に安定させるために、現地の官僚等をトレーニングしないといけない。ほとんどの植民地支配者は、それぞれの赴任地で自分のキャリアを終える覚悟で、言葉や文化の勉強をしました。これに比べて、現代の開発復興援助というのは、誰も本当の意味では責任を持っていない、という状況だというのです。実際、カブール出張中も、いろいろなドナー国がアフガニスタン中のいろいろな地域でいろいろな分野での支援をしていて、調整のメカニズムが弱い、という話をよく聞きました。要するに皆が好き勝手なことをやっていて、全体像としてアフガニスタンをどういう国にしていくかというところでの戦略、調整がまだまだ弱いということです。普段、国連機関としての調整についての仕事をしている身として、考えさせられます。

まだ書きたいことはあるのですが、長くなったのでこの辺で。邦訳はまだ出ていないみたいです。この本を読んで、ますますアフガニスタンはもちろん、隣国のイラン、パキスタンについてももっと知りたいと思いました。

最近のお気に入り:ジオ・キャッシング2008/08/24 21:55

ジオ・キャシング(簡単に言えば現代版宝探し)のことは以前にちらっと書きましたが、実はこれが私たちの今回の夏休みでかなり大きな位置を占めていたのです。なので、少しここで説明したいと思いました。

ジオ・キャッシングは2000年頃に、GPSとインターネットというテクノロジーで可能になった現代版宝探し(詳しい歴史はwww.geocaching.comを見てみて下さい)です。やってみるのはとても簡単。ウェッブサイトでまずは自分の位置から近い場所にあるcache(宝物のこと)を見つけます。そのcacheがある位置がGPSのコーディネイトとして載っているので、その情報や他のヒント等を記録します。後は、GPSを持って(私たちはカーナビを使っていますが、他にもGPSの機能があるものなら何でも可)その場所へ行って、cacheを探すだけ。見つけたら、cacheの中にはログ・ブックが入っているので、それに自分の名前と見つけた日付・時間を記録します。大きめのcacheだと、小さな宝物(子供用のおもちゃや、キーホルダー等)が入っているので、その中から何か1つ取って、自分で持ってきた物を1つ加えたりもします。家に帰ってきたら、今度は自分の記録をウェッブサイト上でも記録します。こうやって、1000個以上ものcacheを見つけた人々がいるのです。私たちはまだビギナーなので、今まで13個見つけただけですけど。探す人がいるということは、cacheを隠す人もいる訳で、ルールに従って、自分たちでcacheを隠すこともできます。

こうやって聞いてみると、なんだか「オタク」な趣味という感じですが、実に全世界中に約64万個ものcacheがあるというのだからびっくり。一説によると、特にジオ・キャシングが盛んなオランダでは、すべての大きな石の下にはcacheがある、とも言われるほど!

ピーターが友達から聞いて始めたジオ・キャシング。私たちは夏休みにスイス・オーストリアにいる間に、ハイキングルートのあちこちに隠されているcacheを探しました。ほとんどの場合、cacheは観光スポットや特に眺めのいい場所に隠されているので、cacheを探しに行って、思いもかけず素敵な場所に行くことになったことも多かったです。それに、探してもなかなか見つからなかった後、やっと見つけた時の爽快感!これはやってみないとわかりませんよー。

トリノに戻って来て、私は家族でよく行くすごく眺めのいい公園のどこかに自分たちのcacheを隠したい!と思っています。日本にも沢山あるみたいなので、今度帰国した時にはジオ・キャシングも楽しみたいと思います。