マサイマラでのサファリ体験2013/10/06 10:59

さて、誕生日の翌日は朝早く起きて、朝食後、いよいよマサイマラへ向けて出発。今回のケニア旅行の主な目的はマサイマラでサファリを楽しむことだったのです。私は実は数年前に出張でナイロビに行ったことがあるのですが、その時一緒に仕事をしたジンバブエ人の女性で私が尊敬している方が、「マサイマラにぜひ行ってみて。あそこでは本当に人生が変わるような経験をするから」と言っていました。その時は時間がなくて行けませんでしたが、それ以来どうしてもマサイマラには行ってみたい、と思っていたのです。

ナイロビからマサイマラまでは車で約5時間。最後の2時間ぐらいは舗装されていない道路でしたが、思ったよりも快適な旅でした。途中、お土産屋さんで何度かトイレ休憩しましたが、このときのトイレが奇麗だったのに感動。エチオピアでこんな田舎のトイレに行ったら、もうぞっとするような怖いトイレしかありませんから。トイレットペーパーもちゃんとあって、びっくりでした。さすが観光に力を入れている国だけあります。

着いたロッジも、5つ星だけあり、こんな何にもないところに、こんな施設をつくるのが可能なのか!とびっくりするぐらいきちんとしていて、快適なつくり。泊まるのは一応テントではあるのですが、バスルームの部分と屋根は普通のバンガローのような感じで、その屋根の下に大きなテントが設営してあるという感じです。ベッドが3つ入ると狭くはありましたが、電気もあるし、お湯は(アディスなんかより全然)沢山出るし、蚊帳が吊ってあるにも関わらず、ベープマットみたいなのもつけてあり、夜は湯たんぽも入れてくれます。すばらしい…。

そしてここのお料理も期待を裏切らないものでした。朝・昼・夜とビュッフェなのですが、すごくいろいろな種類があり美味しい!ケニア料理もありましたが、その中では私はひよこ豆とトウモロコシとココナツ・ミルクでつくったというお料理がお気に入りでした。とにかく沢山食べ過ぎてしまいました…。

そしていよいよサファリ。夕方4時からと朝6時半からのものがあり、私たちは3回でかけましたが、1回に2時間から3時間かかるので、かなりの動物が見られます。着いた日の夕方の回では、なんと11頭のライオンの群れに遭遇!2組のカップルと7頭の若いライオン。それもものすごく近くで見られて、感動でした。その他にも、象や水牛、カバ、ダチョウ、キリン、シマウマ、ワニ、等々、数えきれないぐらいの動物を見ました。チーターとレパードは残念ながら見られませんでしたが…。沢山動物を見られたのはもちろんよかったのですが、私はいかにも「アフリカの大地」という感じのマサイマラの風景にものすごく感動しました。水平線まで見渡す限りの緑。そこで産まれ、命の限り生き、死んで行く動物たち。この大地はきっと何千年も変わりなく、こういうサイクルを繰り返してきたのでしょう。そう思うと、人間の様々な思いがなんてちっぽけなものかと。あまりうまく言えませんが、マサイマラに行ってから毎日のように、1度はあの大地を思い出しては、ふーっと体から力が抜けていくような感覚を味わうようになりました。まさに、人生の見方が変わった感じ。

ケニア旅行最終日の日曜日は、また5時間かけてナイロビに着き、わりと有名というレストランでのんびりランチをしてから、スーパーマーケットをいくつか回って食料品を買い込みました。同じアフリカでも、ナイロビのスーパーの品揃えはアディスとは比べ物になりません。飛行機が予定より1時間遅く、夜11時半発だったのは相当辛かったですが、まさに大満足の誕生日記念旅行となりました!こんな旅行ができたことに、感謝しつつ、また40代初めの1年を大事に過ごしたいと思います。

サファリの写真がもっと見たいという方は、フォト・ギャラリーを見てみて下さい。3人で取った400枚以上の写真から選んでピーターがつくりました。http://nacken.smugmug.com/Travel/Maasai-Mara/32249719_MMtJqZ#!i=2805122880&k=SqdLHHS

最近読んだ本:『神々の山嶺』by 夢枕獏2013/10/06 20:15

マサイマラへの旅に持って行った本がこれ。友達にもらったまま読んでいなかったのですが、なんとなく持って行ったら、長編なのですが面白くて一気に読んでしまいました。私は元々、山岳小説とか映画とかすごく好きなのですが、そうでなくてもこの本はストーリーにグングンと引き込まれました。

あらすじは、カトマンドゥの裏街で古いコダックを手に入れたカメラマン・深町が、そのカメラはジョージ・マロリー(人はなぜ山に登るのかという問いに対して「そこに山があるからさ」と答えたというのはこの人だそうです)がエヴェレスト初登頂に成功したかどうか、という登攀史上最大の謎を解く可能性を秘めていることに気がつき、カメラの過去を追うところから、物語が展開していきます。その中で、深町は羽生丈二という伝説の孤高の単独登攀者にゆきあたり、彼が前人未到のエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂に挑むつもりではないかと、思い当たります。あとは読んでみてのお楽しみ…。

ヒマラヤ登山の話だけあって、人はなぜ生きるのか、というのがこの小説のテーマとしてあると思うのですが、出て来たいろいろな台詞の中で、私はN.E.オデルという実在の登山家の次の言葉が特に心に残りました。「この世に生きる人は、すべて、あのふたり(エヴェレストから戻って来なかった登山家のマロリーとアーヴィン)の姿をしているのです。(中略)頂にたどりつこうとして、歩いている。歩き続けている。そして、いつも、死は、その途上でその人に訪れるのです。軽々しく、人の人生に価値等つけられるものではありませんが、その人が死んだ時、いったい、何の途上であったのか、たぶんそのことこそが重要なのだと思います。」

夢枕獏さんって、私は今まで知らなかったのですが、結構有名みたいですね。漫画の原作を書いたり。この本も漫画化されているそうですが。そういえば、この本でも高山病による幻覚のシーンなど、おどろおどろしいシーンが圧巻なので、彼の作品はビジュアル化するのにはやりがいがあるのかもしれません。彼の書いた本の中では、私は空海の話という「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」や若き日のシッダールタの冒険談という「涅槃の王」を読んでみたいです。