リーダーシップ持論:その2 ― 2019/03/15 22:16
今日はリーダーシップと人材のお話。前回、私はビジョナリーなリーダー像をよしとする考え方に疑問を呈していたので、想像がつくかもしれませんが、私はリーダーというのは先頭を切って皆を引っ張って行く、というよりは、後ろからサポートするような役割であるべきと思っています。リーダーは、個人がそれぞれの才能を開花できるよう支援するべき。そうすれば、マイクロマネージする必要もなく、一定の方向性を示して、必要な時にアドバイスをするだけで、皆努力して、ぐんぐん伸びていくことが多いです。そういう風に、スタッフが成長していくのをサポートするのが、マネージャーとしての醍醐味かもしれません。
そこでものすごく重要になってくるのが、人材の採用です。ここで間違うと「間違って」採ってしまった人を指導するのに異様に時間とエネルギーを浪費するだけでなく、そういう人の悪影響を最小限にとどめるべく、ダメージコントロールにも時間とエネルギーを費やすことになります。しかし当然、「間違った」のかどうかというのは、結構後になるまでわからないこともあります。。。採用試験をすごく上手に通過するのに長けている人っていますので。
じゃあ採用する際に何を大切にすればいいのか。私の個人的な方針ですが、一つは国連の原則とするもの、例えば人権、正義、世界平和などに強い理解と情熱を持っている人。このレベルの信念は、採用してから変えるのは難しいので。例えば、お金が人生で一番大切だと思っている人は、国連に入っても充実感はなく、長続きしない、ということもあるし、もっと悪い場合は、汚職したりする可能性さえあります。もう一つ、私は常に、個人の持つ可能性で採用することにしています。例えば、募集している仕事と全く同じような経験・スキルを持っていて、明日からでも完璧にその仕事をこなせそうな人よりは、努力して、足りないところを補って、そのポストで1人前になるように頑張ってもらう必要がある人の方が、うまくいくことが多いと思っています。その「頑張る」エネルギーというのが、組織全体にとってもいい影響があるというのもあります。皆が切磋琢磨して、成長していくような職場にしたいですから。それと、私もこれまで随分、業績というよりは可能性で採用して頂いたなあ、という気持ちもあります。(笑)
もっと細かく具体的にどのようなスキルを重視するか、という点ですが、私が特に重視するのは、判断力。様々な場面で、的確な判断ができる能力というのはすごく重要だと思います。的確な判断をするためには、経験だけでなく、相手の立場になって物事を考えられることや、今からしようとすることに関して、長い目でみてどういう影響があるかを戦略的に思い描くこと等、いろいろなスキルが必要になります。そして私の経験では、判断力を育てるのは難しいです。どうしようもなく常識がなく、「なんで?」と思うような判断しかできない人が、その欠点を克服するのはかなり難しい。そういう人を育てるのも難しい。というのも、そういう人は自分のことがわかっていない場合がほとんどなので。。。でも、この判断力を採用試験で見極めるのも簡単ではないように思います。
実際に採用試験のプロセスでは、私はレファレンス(日本語では何でしょう。推薦?)を非常に重視します。書類として提出してもらうだけでなく、私は直属の上司だった人に、電話で連絡するようにしています。紙として残ると、批判的なことは書かない人が多いですが、電話だと細かなニュアンスもわかることが多いので。かなり下のレベルのポストでも、いちいち時間をかけてレファレンスチェックする価値はあると思っています。筆記試験と面接でわかることには限界がありますから。
そんなこんなで、人材の採用と、優秀な人材にとどまってもらうようにすることの2つには、大変な時間を取られてます。でも、できる人を採り続けることができれば、リーダーとしての仕事は40%ぐらい終わったようなものです。前述したように、そういう人は、自分で自分の目標を設定して、ぐんぐん伸びていきますので。あとは、彼らが飽きないように、新しい課題を与え、挑戦を楽しめるような環境をつくること。それでも、すごく優秀な人はいづれは次のステップへ移っていきますので、その時、交代できるだけの人材の層をつくっておく。言うは易しですが、これを全部きちんとやるのは、相当大変です!
次回は、業績評価について。
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