ジュリウス6歳に。 ― 2010/08/06 20:08

8月6日はジュリウスの6歳の誕生日でした。2日にトリノを発ち、4日に日本からミラノに到着した両親をピックアップして、アスティの近くのアグリツーリズモ、ファットリア・ロベラに泊まっていたので、そこで皆でお祝いしました。(ちなみにこのケーキは、誕生日の翌日に泊まった私たちは常連のアグリツーリズモ、カッシーナ・ヴローナで用意してくれたものです。)
6歳というのは大きな1つの区切りという気がします。なにせ来月からは1年生です!親としては感慨深いのですが、ジュリは誕生日=プレゼントという意識しかないようで…。前々から欲しがっていたトイ・ストーリーに出て来る車のラジコンや、おばあちゃんが買って来てくれたおもちゃやクレパスをもらって、嬉しそうでした。
人生のほとんどをイタリアで過ごしてきたジュリウスですが、イタリアで誕生日を祝うのは初めてだったと思います。
最近読んだ本: 'The White Tiger' by Aravind Adiga ― 2010/08/13 22:26

日本で産休中のウォッカさんのブログでも紹介されていたこの本。偶然、今回のバケーションの第1日目に泊まったホテルに置いてあったので、読み始めました。ウォッカさんとは読む本が偶然よく重なるのです!
お茶屋のカーストに属する貧しい家庭に生まれたインド人が、上層階級の主人のドライバーとして働き始め、主人を殺して金を奪い、さらには起業家として成功するまでの物語が、主人公から中国の首相への手紙というかたちで綴られています。内容はかなり壮絶で、フィクションとはいえ、インドの貧困層ってこんな暮らしで、こんな精神状況なんだろうなあ、というのが妙にリアルに感じられます。そして、文章がイギリスっぽいブラック・ユーモアに溢れていて、思わず笑ってしまう…。
この話の核となるのは、主人公が「鶏かご」(アジアの市場等で、生きた鶏が売られている時に入っている半円形のかごのこと)のようだと言っている、インド社会の特徴だと思います。つまり、インド人は生まれた時からカーストに縛られ、そこから出られないことを宿命として受け入れてしまっている。これには、家族との強い関係が影響していて、例えば、奴隷のような暮らしから1人が逃げ出した場合、その人の一族郎党が皆殺しにされる可能性がある、等。こういう閉塞感が、主人公をじりじりと追いつめ、主人を殺すところまでいってしまう訳ですが、その気持ちの変化がすごくよく描かれていると思いました。
そして、こういう閉塞感に関する記述を読んでいて、私がふと思ったのは「なんか日本に似てる」ということ。もちろん、日本にはいわゆるカースト制度はありませんが、私が日本にいた時に感じた閉塞感は、ある意味でこの「鶏かご」にとても似ていたと思うのです。周りにいる人の多くが、いろんなことをただ黙って受け入れることをよしとしている感じ。日本で数年暮らした外国人の友達に、日本にいて一番我慢ができなかったのは、「仕方がない」でいろいろなことを片付けてしまう人が多いということだ、と言われて妙に納得したこともありました。もちろん、そうじゃない人もいましたし、私が日本に住んでいたのは10年以上前なので、今は変わっているのかもしれませんが。
それはともあれ、ただ単に小説としても充分楽しめると思いますので、お勧めです。主人を殺すくだりなんて、本当に臨場感に溢れていて、どきどきしました!邦訳は『グローバリズム出づる処の殺人者より』という題で、文藝春秋から出ています。
最近のジュリウス:初めての乗馬 ― 2010/08/14 20:32
ジュリウスの誕生日の前日、泊まっていたアグリツーリズモで、ジュリを馬に乗せてくれるというので、彼にとっては初めての乗馬をしてみました!ジュリは、南アフリカでダチョウ、ヨルダンでロバ、ネパールで象には乗りましたが、馬には乗ったことがなかったのです。乗ってみる?と聞くと、「ちょっと待って!」と言って部屋に走っていくので、何かと思ったらパパのカウボーイ・ハットをかぶってもどってきました。映画の「トイ・ストーリー」の影響でしょうか…。
乗馬と言っても、てこてこと歩いてアグリツーリズモの周りの田舎道を数分まわったぐらいですが、本人はとっても気に入ったようで、ご満悦でした。乗っている間は、かなり緊張した面持ちで、真剣な様子でしたけど。そういえば私は中学生ぐらいの時、夏休みに乗馬のためのキャンプに参加してみたことがありますが、そういうのにジュリが参加できる日も近いかも…?
アクイ・テルメ ― 2010/08/15 22:47
忘れないうちに、そして次の旅行に出かける前に、今回の旅行のことを書いておこうと思います。2つのアグリツーリズモで合計4泊した後、温泉地として知られるアクイ・テルメにやってきました。ここに来るのは初めて。街の中心からちょっと離れた4スターホテルに1泊90ユーロで泊まれたのですが、さすがにお部屋はとっても広くて快適でした。受付のお姉さんは無愛想でしたが…。
ここでも日中はひたすらのんびり過ごしました。屋外プールの他にかなり大きめのジャクジーもあったのですが、これが温泉だったのかは謎でした。夕方から街に出て歩き回りましたが、広場には硫黄の臭いのする温泉が湧き出ている噴水があり、やっぱり温泉地なんだな、と思わせました。このお湯をくんで持ち帰っている人もいました。レストランも沢山あり、私たちは1日目は軽くアペリティーボをし、2日目はこの噴水のある広場に面したレストランで夕食をしました。1日目の夜には、イベントがあり、手を使って影絵のようにいろいろな表現をしたショーを見ました。大したショーではなかったけれど、こうやって夏の夜に屋外でイベントがあるのはイタリアっぽさを楽しむのにはいいかも、と思いました。ジュリはずいぶん長い間、子供達と一緒に走り回って遊んでいました。
アクイ・テルメの周辺の景色はとても奇麗だったし、こじんまりとした街も気に入ったので、また来てもいいかな、と思いました。私たちが滞在した数日後には、ジャズ・フェスティバルもあるようでしたし。写真はアペリティーボをしたカフェ・バーで。ジュリは最近いつも写真を撮ろうとするとふざけて変な顔をするので、こういう普通の笑顔で撮られた写真は貴重です!
最近読んだ本:『私たちには物語がある』by 角田光代 ― 2010/08/16 09:36
母に日本から持って来てもらった本のうちの一つで、大好きな角田光代さんの書評集。彼女がこんなに書評を書いているとは知りませんでした。本人も「私が書いているのは、書評というよりは感想文」と言っている通り、専門家っぽいというよりも素朴な感想文っぽい感じがとても読みやすいです。ただ、斎藤美奈子さんのような書評スタイルに慣れている私には、ちょっと物足りない気もしてしまいました。「面白くないと感じる本はほとんどない」と言っている通り、紹介される本のほとんどすべてが褒められていて、批判はほぼ皆無。でも、逆に、読みたいなと思う本が沢山でてくるのは確か。特に、紹介されている本のうち、太宰治等のクラッシックな作品を除いては、私が読んだことのある本はほとんどなかったので、これを見ながら次に読みたい本を考えよう!と思いました。
角田さんの作品には強い女性と情けない男性が出て来ることが多いですが、彼女の読む本も、強い女性の話が多いような気がしたのは気のせいでしょうか…。それから、アフリカやアジアの作家の本がいくつか紹介されているのも面白いと思いました。そういえば、私が次に読みたいと思っている本のうち2冊がアフリカ出身の作家によるものだし。
この本からは角田さんの「読書の楽しみ」が溢れ出ている感じで、その点ではとても楽しんで読めました。本の読み方にもいろいろある、と改めて思ったし。仕事を1年ぐらい休んで、好きな本を思い切り読んで過ごしたい、というのは未だに私の夢です…。
ピーターの誕生日@Cascina Vrona ― 2010/08/17 18:24
昨日は、8月15日(イタリアの代表的な祝日)の振替休日で仕事がお休みだったので、ピーターのお誕生日・イブを祝うべく、またまたカッシーナ・ヴローナに行ってきました。家を出たときは曇り空で、肌寒いぐらいだったのですが、着いてからしばらくすると晴れてきたので、午後はプールで泳ぐこともできました。ジュリは他のゲストの子供達と一緒に遊べて大喜びでした。写真はぶどう畑をお散歩した時のジュリウス。色づいたぶどうもかなりありました。秋になって、ぶどう畑が紅葉するとものすごい奇麗なんですー。楽しみ。
今回、ちょっとびっくりしたのは、ヴローナを経営している家族から、私のブログを読んでヴローナのことを知り、泊まりに来た日本人女性が先週いた、と聞いたこと。京都にお住まいのA子さんという方、私宛にメッセージを残しておいて下さいました。わざわざありがとうございます!楽しい滞在だったようで、私も嬉しいです。ちなみに、リノ&ピエラからは、A子さんはイタリア語が堪能だったよー、と何度も言われ、ちょっと肩身が狭かったです。(私は5年もイタリアにいるのに、片言しかできません…。)
夕食はまたおいしい&たっぷりのお料理。また食べ過ぎたー。本当に最近食べ過ぎです。そして今日の夜にはまたトリノのレストランでピーターの誕生日ディナーをするんです。さすがに今日のランチはなしにしておきました…。
最近のジュリウス:フォトグラファー ― 2010/08/18 18:52
ドイツのおじいちゃんからのジュリウスへの誕生日プレゼントは、デジタル・カメラでした!ピーターは「子供用のもの」とお願いしたらしいのですが、届いたのは普通の大人用のもの。でも、ジュリは基本的な操作は既に覚えてしまったようです。
という訳で、最近のジュリはしょっちゅうカメラを構えては、写真やビデオを撮っています。あまり考えずにシャッターを押すのが逆にいいのか、時々なかなかびっくりのいい写真があるのです。そんなジュリの撮ったものをまた今度紹介したいと思います。
写真はカッシーナ・ヴローナでカメラを構えているジュリウス。バックの景色がすごいでしょうー。この景色を見ながらお食事をする時、もうイタリアに永住してもいっかー、という気分になってきます…。
3度目のレバント&チンクエ・テッレ ― 2010/08/18 21:29
夏休み旅行記の続きです。アクイ・テルメの後は、ピエモンテ州からリグーリア州の海岸へ出て、ジェノア経由でレバントへ向かいました。チンクエ・テッレは基本的に車で入れないので、レバントに泊まって、電車でチンクエへ向かうためです。私たちにとっては4年ぶり3度目のチンクエですが(なんか高校野球みたい!)うちの両親にとっては初めてでした。
レバントでは、ホテル・ナショナルに泊まりましたが、ロケーションはいいし、受付の人々も親切で、なかなかいいホテルでした。そして改めて、この町、好きだなあと思いました。前回は6月と10月に来たので、夏のピーク・シーズンに来るのは初めてでしたが、人が多いながらもコミュニティーっぽい雰囲気があって、海の近くに大きな公園もあり、なんか観光地っぽすぎないのが居心地良いのです。
このレバントでは、ジュリが迷子になって大変な思いをしました。母とワインやオリーブオイルのお店を見ていて、ふと気がつくとジュリがいないのです。店の周りや近くの公園も見ましたが、どこにもいない。青ざめてピーターに電話して、どうしよう、と思いながらしばらくすると、ジュリがイタリア人のおばさんに連れられてきました。お礼を言って、ジュリにどうしたのか詳しく聞くと(だいだいどうやって戻ってこられたのか?)私の姿が見つからない、と思い、自分でホテルに戻ろうとして歩き出し、迷って道ばたで泣いていたら、このおばさんが話しかけてくれたとのこと。おばさんは「ママはどんな服を着ていた?」と聞くので、ジュリが説明すると(もちろんイタリア語で)じゃあ、探しに行こう、と一緒に歩きまわって探してくれたそうです。ほっとしました。親切なおばさんがいたのもありがたいけど、こういう時、ジュリがしっかりイタリア語を話せるのもよかった。
レバント1泊目は、前にも何度か行ったシーフードのおいしいレストラン、トレ・カンティーナへ。ここでは約20種類のシーフードの前菜が出てくるのです。両親はそれを注文して、ほとんど全部食べきっていました。私はシーフード各種のフライ、ピーターはマグロのステーキをたのみましたが、どちらもすごい量…。ここはデザートもおいしいのですが、とても入りきりませんでした…。
翌日は、チンクエ・テッレへ。今回もリオマッジョーレ(レバントから5番目の町)からマナローラへの愛の小道を歩いてから、さらにコルニーリアへ歩き、コルニーリアでは、駅から300段以上ある階段を登って、町を見ました。ここから船で他の村へ行こうと思っていたのですが、後からコルニーリアには船が来ないとわかり、この時点で暑さにかなりばてていたので、電車でレバントへ戻りました。あまりの暑さに食欲も出なかった…。この日は、アペリティーボで軽く夕食にしました。
レバント3日目は、朝、ミラノへ向かう両親を電車の駅まで送ってから、私たちは電車でヴェルナッツァへ。ここの町には来たことがなかったのですが、なかなか素敵な所でした。ここでもジュリウスを巡って大変なことが。私が入ったお土産屋で、金の縁取りがある150ユーロもする亀のペンダントを見つけ、それを欲しがったのです。いくらなんでも、150ユーロは高すぎるでしょう、と思い、何とか説得して、もっと安いのを探すことに。ヴェルナッツァから船でモンテロッソへ行き、そこで入った別のお土産屋で、5ユーロのを見つけることができ、ジュリは満足したようで。ほっ。
モンテロッソで軽くランチをしましたが、このレストランは当たりでした。私はシーフードのパスタ、ピーターはツナとタマネギのピザを注文して、どちらもおいしかった!隣に座っていたイタリア人家族がうるさすぎだったのだけが玉にきずでしたけど。
最後の夜は、1泊目に両親と行ったレストランで、20種類の前菜にチャレンジしてきました。全部食べられなかった…。ジュリは途中で寝てしまいました。
翌日は今回の旅行で一番長いドライブでしたが、途中で休みながら、無事に帰ってくることができました。私がアクイ・テルメに忘れ物をしてしまったので、アクイ・テルメのホテルへ寄ってからアスティまで田舎道を走りましたが、とてもいい眺めで、得した気分でした。
写真はリオマッジョーレで撮ったものです。
夏休み第2弾! ― 2010/08/19 21:32
今日から、2つめの夏休み旅行に行って来ます。今度の目的地はオーストリア。私たちはこのところ毎夏オーストリアに行っている気がします。去年はチロル地方でしたが、今年はカーンティン地方にある、ファミリー向けのホテルで1週間のんびりしてきます。ここはいわゆるオール・インクルーシブで、子供向けのキッズ・クラブ等もすべて込みの料金。そして巨大なスパがあるのも魅力!
ひとつ心配なのは私が初めての長距離運転をしないといけないこと。とは言っても、今月のピエモンテ&リグーリアの旅行で、私は合計850キロ以上運転したので、かなり自信はつきましたが。今回はほとんどが高速道路だし。
では、安全運転で行ってきます。
オーストリア・トリノ・マニラ・ハノイ・トリノ ― 2010/08/31 21:42
一昨日、オーストリア旅行から帰って来ました。この旅行のことはまたいつか書きたいと思いますが、お天気もまあまあよかったし、ホテルも気に入ったし、とても楽しく過ごせました。また食べ過ぎてしまった…。
戻って来てほっとする暇もなく、明日から16日間の出張です。こんなに長い出張は久しぶり?っていうか初めてかもしれない。行き先はマニラとハノイ。フィリピンには行ったことがないので、楽しみだし、ハノイには私は15年ほど前に1年住んでいたので、これもものすごく楽しみ。相当変わっているだろうなあ…。もちろん、ベトナム料理も…。職場のアシスタントさんたちには「りつは休暇から戻ってきたばかりなのに、また休暇?」と冗談を言われています。
今回はとにかく、気力・体力を使い果たさずに戻って来ることに気をつけたいと思います。大体出張中は1日12時間以上働き続けるのが普通なのですが、さすがにそれを2週間以上続けたら体を壊しそうだし。時々しっかり休みをとって、気分転換もしつつ、頑張ってきます。
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