"After the Quake: Stories" by 村上春樹2012/07/01 13:00

数週間前から、毎週土曜日の午前中にジュリの学校の図書室が開いているのを利用することにして、図書館通いをしています。ジュリも本好きなので、2人で図書館で過ごす数時間は至福の時…。思いがけず結構読みたかった小説があるのに気がつき、私もかなり借りているのですが、そのうちの1つがこの本。邦題は『神の子どもたちはみな踊る』です。最初は村上春樹を何も英語で読まなくてもなあ、と思ったのですが、読み始めてみたらかなり違和感なく読めました。訳者がよかったのかもしれません。6編の全く違った感じの短編からなるこの本は、どの短編にもちらっと神戸の震災の話が出てきます。それで英語の題名は『地震の後で』な訳です。地震が大きなテーマという訳でもないのですが、地震という「天変地異」によって様々な登場人物が無意識のうちに人間のあり方みたいなものを揺さぶられたという感覚がどの短編にもバックグラウンドのように漂っている気がしました。去年の東日本大震災の後でこれを読むと、まさにそういう気分のようなものがリアルに感じられます。「いつ何が起こるかわからない、だからこそ一度しかない人生を、どのように生きるか」というテーマを突きつけられるのが、こういう大きな災害の後なのかもしれません。

6編のうち、私は「タイランド」という、年配の女性がタイのリゾートで1人のんびり過ごす話が不思議に心に残りました。この話にも、他の話でもそうですが、村上春樹のシュールリアリスティックなメタファーにはいつもうならされます。ありえないような、この世のものでないようなもの・人がなぜかリアルに納得できる世界を作り出す、これは彼ならではの特別な能力、という気がします。

初めて英語で読んでみた村上春樹はなかなかよかったです。次はでも、やっと文庫本が出た数年前の話題作「IQ84」を日本語で一気に読みたいと思っています。楽しみです!

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