最近読んだ本:"The Courage to Trust" by Cynthia Wall2019/01/19 17:53

新年のブログに、去年は仕事の面で、相当辛い1年だったと書きました。詳細は明らかにできませんが、12月頭頃には私はかなり行き詰まっていたと思います。今考えれば、被害者妄想のような気持ちで、今度はいつ誰に裏切られるのか、身構える感じで毎日過ごしていました。

そんな折、地域事務所から12月中旬にあった小さな会議のためにバンコクに来るように言われ、会議に出たついでに私の上司(スウェーデン人)と1対1で話す機会がありました。その時彼に「相当苦しそうだね。これからどうするのか、打開策を考えないといけないよ。今のままでは続けられないでしょう」と言われました。そう言われてみて、今更ながらはっとしたのです。「確かに、このままでは無理だ。誰も信用できないのにどうやってチームを率いていったらいいのか、自分でもわからない」と気がつきました。そしてもう一つ気がついたのは「私が2100万人いるスリランカ人の考え方を変えるのは当然無理なのだから、私自身が変わるしかない」という当たり前のことでした。とりあえず、この「気づき」を助けてくれた上司にお礼を言い、なんだか生まれ変わった気分でスリランカに戻ってきました。

その後、15年来の知り合いで、最近は私のメンターともなってくれているP氏(彼はリーダーシップやチームワークの専門家として世界中で働いています)に相談しました。彼には「君はまず、自分自身を100%信じることができるか、そこから始めてみたら」と言われたのです。この時また、私は他人だけでなく、自分自身のことまで信じられなくなっていたことに気がつきました。これはまた本格的な自分探しの旅か!と一瞬げんなりしたのですが(詳細は省きますが、私はエチオピアにいた2012から2013年にかけて、相当自分の問題を突き詰めたことがあります。これは革命的な経験でした。)彼に「誰でも、何層も限りなくある自分の問題を何度でも深めて行くことができるんだよ。君にはまたもう1層分、深いとこまで行く勇気とオプティミズムがある」と言われ、そっか、しゃあない、と腹をくくりました。

前置きが長くなりましたが、こういう経緯があって出会ったのがこの本です。邦訳は出ていないみたいですが、題名はずばり「信じる勇気」です。セラピストである著者は、このテーマをものすごく丁寧に、沢山の練習問題(?)を交えて、掘り下げていきます。とっても学ぶことが多かったのですが、私にとって一番役に立ったと思えたのは、自分の中にいる「子供」とその子供の自分を守ろうとする「保護者」と「大人」の3人を認識する、というアイデアでした。子供としての自分は、人を信頼したい、という純粋な気持ちと、傷つけられたくないという恐怖を持っています。保護者としての自分は、はそういう子供の気持ちに対して、理屈をつける等して、子供を守ろうとします。ここで大事なのは、大人の自分の声を聞き、それぞれの場面で、大人としてのバランスの取れた考え方、行動を取ることです。言われてみると、とても納得のいく考え方で、例えば裏切られたと感じた時に「もうやってられるか!」という子供っぽいリアクションとか、「自分を守るために、もう2度と人を信じるべきじゃない」という極端な考えが自分の中に生じる一方で、「それは違うでしょう」という大人の声がある。そういうことって、よくある気がします。そして著者によれば、子供時代に信頼を裏切られた経験が、自分の中でのパターンとして残っているので、そういう自分の幼少時代の体験を自分なりに理解しておくこと、そういう経験が大人としての自分の考えや行動にどういう影響を与えているか、与える可能性があるか、を認識しておくのはとても大切ということになります。

もう一つ、納得の考え方は、信じる対象というのは3種類あるということ。一つは他人、もう一つは将来、そして自分自身。まずは自分自身を信じられなかったら、前述の「大人としての自分」の声というのは聞こえなくなってしまうので、他人を信じるのは難しい。そしてそういう状況では、明るい未来を信じることなんて当然無理。私はなぜか、将来に関しては常に楽観しているので(多分今までなんだかんだいっても運がよかったから)それだけでなんとか去年の12月まではやってこれたのだと思います。

最終的に一番大事なのは、まさにP氏の言っていたように、自分を信じること、そして自分で自分のベストフレンドになることです。私はついつい嫌なことがあると自分を責めてしまいがちなのですが、これは止めないと、と心底思いました。そしてヨガや瞑想やマッサージ等、自分のケアをしっかりこれからもしないと。自分を大事に、これは新年にあたってとても素敵なテーマと思いました。

12月の段階では予測もしませんでしたが、日本から戻ってきて最近、職場でまた本当にとんでもないことがありました。もうここまで来ると笑えてくるぐらい、スリランカ人、すごすぎる。まだ解決していませんし、解決まではしばらくかかると思います。でもここ1ヶ月半ぐらいのミニ自分改革のおかげで、今回は全然落ち込んでません。この本のおかげ、というのも大いにあります。人や自分を信じるということを、しっかり掘り下げてみたい人にはオススメです。

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