引っ越ししました。2012/09/16 13:14

また久々のブログ更新になってしまいましたが、この間、私たちは引っ越しをしました。

前の家では教会からの騒音に悩まされ続けたので、思い切って引っ越しすることにしたのですが、この決断は正解でした!今の家では、教会からのお祈りは、全く聞こえない訳ではないですが、遥か彼方から少しだけ聞こえる程度。すごくほっとしました。これに加え、なぜか今の家の方が断然リラックスできるのです。その理由を考えてみると、まず、塀が高いこと。3メートルぐらいはあります。それと、窓ガラスが磨りガラスになっているため、カーテンを開けていても、外から中は見えません。前の家はそれほど塀が高くなかったし、磨りガラスではない大きな窓がいくつもあったので、家の中にいてもなぜか外から見られている感じがありました。教会から近かったため、人通りも多く、うちのすぐ前には、教会で大きなミサがある日にはいつも物乞いの人が何人も座っていたので、それもプライバシーがない感じだった理由かもしれません。そして、今の家には、家の前にも裏側にも、テラスがあり、外で気持ちよく座ることができます。(今は雨期で雨のせいで外で座れないことも多いですが…。)前の家には、外でゆっくり座れる場所はなかったので、これも気持ち的にのんびりできることに貢献しているでしょう。それから、前の家ではばかでかいジャクジーしかなかったので、お湯がたっぷり出る訳ではない環境では、大きなお風呂ではお湯がたまるのに時間がかかりすぎて、ほとんどシャワーでした。今の家は、普通の大きさのバスタブがあるので、普通にお風呂に入れます。庭も前より広くて、ブランコもあるし、今度はジュリにバスケットボールのシュートの練習ができるような設備を買ってこようと思っています。

という訳で、考えてみると前の家の方がよかったよなあ、と思うところははっきり言って一つもないです。それにしてもびっくりしたのは、この前に住んでいた家、もう既に次の借り手が見つかっているということなのですが、なんと家賃が月4500ドルで契約されたとか。私たちはもちろんそんなに払っていませんでした。教会の騒音のことを思えば、4500ドルの価値は全然ないと思うのですが、次の借り手はナイジェリア人ということで、もしかして音は気にしない人たちなのかもしれません…。しかし、アディスの家賃は上がっているとは聞いていたものの、これほどとは…。ちょっと異常です。

しかし、これほど家を変えたことで気分が変わったのは、きっと風水の面からみても、この家はいいのかも?風水のことはあまり知りませんが、何か超自然的な理由があるに違いない、と思ってしまうほど、落ち着ける家に引っ越せてよかったです。

ゴンダール&バハダールへの旅(その1)2012/09/21 19:00

もう2ヶ月以上前の話になってしまいますが、ゴンダール&バハダールへの旅行について書いておこうと思います。数年前に私のメンターから紹介してもらった、ジンバブエの国連で働いているNさんがエチオピアに遊びに来てくれたので、一緒に週末旅行をすることにして行ってきたのがゴンダール&バハダールです。どちらもアディスから北西へ向かった、タナ湖の近くにある町です。

まず土曜日の朝、4時半起きでアディスの空港へ向かいました。ここでは国内線でも2時間前に空港に行かないといけないので…。ゴンダールへ着くと旅行会社が手配してくれた車が待っていて、すぐにホテルへ。町からはちょっと離れたところにある山の上にあるホテルでしたが、雰囲気はなかなかよかったです。問題は、今朝は水が出ない、と言われたこと…。でも、観光しているうちに治すから、と言われて、仕方なく出発しました。

ゴンダールは17から18世紀にかけて、エチオピアの首都だったという古都です。ここはファジル・ゲビと呼ばれる、ユネスコ世界遺産に登録されている王宮群で特に有名です。この王宮群に行く途中で、ガイドさんをピック・アップしてから、王宮へ到着。てっぺんが丸っこい特徴のある塔がある王宮の建物(写真でわかるでしょうか?)は、ユニークで面白かったです。ここでは、ライオンを飼っていたこともあるとかで、ライオンの檻というのもありました。沢山ある王宮を一つずつ丁寧にまわりましたが、このゴンダール出身のガイドさんの情報量には圧倒されました。しかも英語も流暢で、訛もほとんどありません。実はこのガイドさん、自分でゴンダールを紹介するDVDというのをつくったということで、私たちと観光スポットを巡りながら、沢山の人にそのDVDを売っていました。私たちにも1枚くれると最初は言っていたのですが、ツアーが終わるまでには、売り切れてしまい、もらえませんでした。でも、とにかく彼のこの町に対する愛情みたいなものをひしひしと感じられて、お金目当てみたいな感じが少しもなくてよかったです。

ファジル・ゲビの後は、レストランでランチ。Nさんはインジェラ(エチオピアの国民食!)を、私はせっかくタナ湖の近くだというので、お魚を注文しました。味はよく覚えていないのですが、まずくはなかった気がします。

ランチの後は、今度はファシリダスの風呂へ。ここはローマの公共浴場の遺跡のような感じで、巨大なプールのようになったお堀(?)の中に、ぽつんとお城のような建物が建っています。ここは、毎年ティムカットというお祭りの時に、このお堀に水を入れて、セレモニーをするということで有名なのですが、水がなくても、雰囲気があり、素敵な場所でした。

この後は最後の観光スポット、デブレ・ベルハン・セラシエ教会へ。ここでは偶然結婚式があったので、見学しましたが、新郎・新婦が全く嬉しそうな表情でないのが、不思議でした。教会では真面目にしないといけないってことなんでしょうか?教会の中には、典型的なエチオピア宗教画が沢山描かれていて、これもガイドさんが詳しく説明してくれました。

ツアーはここで終わり。ホテルに戻るとまだ4時ぐらいだったのですが、何しろ4時半起きだったので、私もNさんも眠い…。夕食前に昼寝をすることにしました。当然のようですが、この時点で水はまだ出なかったです。昼寝から起きてもまだ水は出なかったので、ホテルのレストランで夕食をすることに。水も出ないのに、料理ができるのか?と聞いたら、問題ないと。今は雨期でオフ・シーズンだからか、がらんとしたレストランでのんびりと食事をしました。食事が終わって部屋に戻ってしばらくして、やっと水が出ました!でも、お湯はぬるーいのしか出なくて、Nさんはそれでもシャワーを浴びていましたが、私は諦めてそのまま寝ることにしました。と言っても、かなり遅くまで2人でしゃべっていましたが…。とにかくとっても充実した1日目でした!ゴンダール、私はあまり期待していなかったのですが、かなり気に入りました。(続)

ゴンダール&バハダールへの旅(その2)2012/09/21 21:03

さて翌日もかなり早起きして、今度は陸路、バハダールへ向かいました。バハダールはタナ湖の沿岸にある町で、アムハラ州の州都です。ゴンダールからバハダールは車で3時間なのですが、エチオピアとは思えないコンディションのいい道路で、快適でした。雨期で緑が一杯のルートは気持ちがよかったです。

バハダールに着くと、ゴンダールと比べて暖かい!標高がだいぶ下がったからでしょう。まずは湖のほとりのホテルで荷物を降ろし、ガイドさんに会って、そこから1時間ほどボートで行ったところにある古い教会へ行きました。タナ湖はエチオピアでは最大の湖で、長さ84キロ、幅66キロもあります。ここから青ナイルが始まるというので有名です。タナ湖には37の島があり、全部で29あるという古い修道院を訪ねられるようになっているのですが、私たちが行ったのは、島ではなく、湖に突き出た半島にある修道院でした。ゴンダールで見た教会と似た感じで、中には沢山の宗教画がありました。エチオピアの宗教画はどこに行っても同じような感じですが、ぱちっと目を見開いた、無表情なアフロヘアの聖人たちは、何度見てもなんだか不思議な感じがします。教会へ続く道には、沢山のお土産屋さんがあり、私はジュリにと思って葦でつくった小さな飾りのボートを買いました。

修道院を見終わって、またボートに乗って、荷物を置いておいたホテルに戻ってそこでランチを食べてから、今度は30キロほど南下したところにある青ナイルの滝を見に行きました。途中から、必ず一緒に行かなくてはいけないという別のガイドさんが加わり、ガイド2人になり、バスを降りてから、ぬかるみのある道をだいぶ歩きました。ここはゴンダールよりもさらに気温が高く、暑いくらいでした。汗をかきながら、まだ着かないのかー、と思い始めた頃、滝が見えてきました!この滝(写真)は、近くにダムがつくられてから水量がぐんと減って、あまり大したことない、と聞いていたのですが、やっぱりすごい迫力でした。雨期だからか、水はものすごい茶色の泥水でしたが…。

沢山写真を撮ってから、またバハダールの町に戻り、ヤシの木が並ぶ大通りの側のカフェで一休み。ガイドさんも一緒に休憩しましたが、彼はなんだかもう帰りたいみたいな感じでした。早くバハダールを出て、世界を旅したいんだ、というような話をしてくれました。その後、ちょっと早めに空港に行きましたが、この空港、こんなのしかないのか?というようなかなり粗末な建物で、ゴンダールの空港が今になると超近代的に感じられるほど…。夜の便だったので、9時過ぎぐらいにアディスに着きました。

1泊2日でもずいぶんいろいろ見られた満足できる旅でした。Nさんともまるで旧知の友達のように楽しく旅行できてよかったです。彼女と、ジンバブエとエチオピアを比較していろいろと話していたのですが、一番大きな違いは、植民地化の有無だという結論に至りました。誤解を恐れずに言えば、ジンバブエはイギリス領だった間に、インフラ等が整備され、エリート層の教育もされ、アフタヌーンティー等の伝統も伝えられ、近代国家への足がかりがつくられた点は否めないと思います。しばらくイタリアに占拠されたことがあったとはいえ、「植民地化」とまではされなかったエチオピアは、やっぱりいろいろな面で近代化への道のりは遠いです。こんなのってやっぱ外国人の考えることなのかなあ、と思いきや、知り合いのエチオピア人にこの話をしたところ、「当たり前だよ!エチオピアが植民地化されていたら今よりもっとましだった」と言わて、ちょっとびっくりしました。

ジンバブエも自然がとても奇麗で、見所が多い国だと聞いたので、ぜひNさんを訪ねて行ってみたい!と思いました。Nさん、楽しい旅をありがとうございました!

最近読んだ本:"Cutting for Stone" by Abraham Verghese2012/09/26 22:30

私は小説を通していろいろな国の歴史や文化を学ぶのが好きで、エチオピアに関する小説も少しづつ読んでいるのですが、これはその一つ。一応、ほとんどの舞台はエチオピアですが、その他の国での場面もあり、世界中をまたにかけた壮大な大河ドラマという感じです。映画にしたらよさそう…。

これから読みたい人のためにあまり筋を書かないでおきたいのですが、簡単に言えば、インドから移住して来たドクターとナースの、エチオピア生まれの双子の兄弟がメインのキャラクターです。彼らが生まれる前の話から、成長していく過程でのドラマが見事に展開していきます。著者はエチオピア生まれのインド系アメリカ人で、スタンフォード大学医学部の教授なので、自叙伝っぽい部分もあるのでしょう。700ページ近くある大著なので、読むのには時間がかかりましたが、読んでいる時はものすごくひきつけられて、それぞれの登場人物が自分の家族や知り合いかのような感じまで持ちました。アディスが主な舞台なので、今のアディスの姿と重ねて読めるところもあったからかもしれませんが…。それと、エチオピア人の血は全く入っていないものの、エチオピアを祖国とする双子の生き方というのも、外国人としてここに住む自分たち、特に幼少時代をここで過ごしているジュリの姿と重ねて考えさせられるところがありました。

エチオピアに特に関心がなくても、物語として面白く読める本だと思います。特に、さすがお医者さんが書いているだけあって、病院の様子、手術室でのやりとり、病気の描写などは、素人じゃないんだろうなあ、と思わされます。医学用語はよくわからない部分もありましたが…。

エチオピアのカルチャーは日本とよく似ていると言われますが、確かにこの本は、日本人にもとっても受けると思います。どちらかというと辛いことの方が多いような人生の中で、小さな明るい光を見つけて、強く生きて行く、という登場人物の様子には、多くの日本人が同感するような気がします。邦訳がまだ出ていないようなのが残念!でも英語でも読みやすいです。今年おすすめの1冊です。

誕生日。2012/09/26 23:20

今日は私の誕生日でした。今更、歳を隠すような歳でもないので書いてしまいますが、39歳になりました。ということは当然40歳まであと1年!ひょえーっ、という気持ちもない訳ではないですが、私は実は20代のころから、早く40代になりたかったのです。仕事でもう「小娘」扱いされることもないだろうし、人生も折り返し地点、これからが面白い!と言える年齢のような気がして。とか言いながらも、職場で「29歳になりました」と言った時、誰一人として「えーっ!若く見えますね」とかって真面目にとってくれる人がいなかったのはちょっとがっくりきた…。当たり前か。ピーターは、30代前半には見えるよ、とかって言ってくれたけど…。

しかし、今年の誕生日はすばらしかった!朝、ジュリは自分の本のうちの何冊かを箱に入れて、きれいにラッピングして、ハートを沢山くっつけて、私にくれました。やることがかわいい…。職場では、ピーターが彼の友達で私の同僚のドイツ人と結託して、オフィスで小さな誕生日会をやってくれて、写真の素敵なケーキを用意してくれました。そしてディナーは、同じドイツ人の同僚と、最近とても仲良くしているフィンランド人の同僚と一緒にフレンチ・レストランへ。これがすごーくハイレベルで、サービスもよくて、感激。私はお魚料理を注文しましたが、今までアディスで食べたお魚料理で一番美味しかったです。

とっても思い出に残る誕生日になりました。ふと、去年の誕生日って何したっけ?と思ってしまったのですが、ブログも書かなかったし、記憶にありません。あの頃は、トリノからの荷物もまだ届かず、家でキャンプ状態で、誕生日どころでないストレスフルな暮らしをしていた気がします。1年たって、誕生日を祝う余裕も出て来たというのは、それだけでもすごいこと、という気がします。来年の記念すべき40歳のお誕生日の時は、私はまだアディスにいるんでしょうか…?とにかく、これからの1年が楽しみです!

鳥の声、木の実。2012/09/29 12:27

新しい家に引っ越して、変わったことのうちの一つ。前の家は大きな道路の近くで、周りに緑もあまりなかったのですが、今はかなり奥まった所で、裏には林があります。それで、だいぶ自然の中で暮らしているという感じがするようになりました。

まず気がついたのが、鳥の声がすごくよく聞こえるということ。なかでも、夜から明け方によく鳴いている鳥がいて、ずっと何と言う鳥だろう、と思っていました。ピーターはモッキング・バードだと思う、と言っていたのですが、私がインターネットで調べてみると、モッキング・バードはエチオピアには生息していないはず。さらに、録音した鳥の声を沢山載せているウェッブサイトで、アディスで録音された鳥の声で検索して、アビシニアン・ナイトジャーという鳥だとわかりました。「アビシニア」というのは、エチオピア帝国の古い名前です。興味のある方は、このウェブサイトで声を聞いてみて下さい。かなり奇麗な鳴き声だと思うんですけど。http://www.xeno-canto.org/species/Caprimulgus-poliocephalus

元々、エチオピアは絶滅の危機にある鳥が沢山いるので、バードウォッチャーたちの間では有名だそうです。そういえば、家の周りでも変わった姿の鳥をよく見かけます。

それから、最近、家の裏側にある林に面したテラスに、写真のような実が沢山落ちているのに気がつきました。最初は古いねじか何かかと思ってびっくりしたのですが、これも調べてみるとユーカリの実だということがわかりました。面白い形でしょう?ユーカリの木も、アディスの植生の特徴の一つで、19世紀の皇帝メネリク2世の時代に外国から持ち込まれて以来、アディスにはなくてはならない木になったそうです。アディスの建設現場で足場に使われているのもユーカリの木だと思います。細いけど、かなり丈夫みたいです。

エチオピアにはいわゆる四季はありませんが、それでも季節の移り変わりはもちろんある訳で、これからも家の周りの環境に気をつけて、何か新しい発見がないか注意してみようと思います。ちなみに2・3日前、6月から4ヶ月続いた雨期がやっと明けて、快晴の日が続くようになりました。エチオピアの雨期は、雨が降るだけでなく、舗装されていない道路が多いために道がドロドロになるので、超憂鬱だったので、ほっとしました。お天気がいいだけで、気分が全然違う!と今更ながらに毎朝嬉しくなってしまいます。これからしばらくはかなり肌寒い日が続くのですが、年末に近づくにつれ、少しづつ暖かくなってゆくはずだと思います。