ビン・ズオンへの出張2014/06/28 23:16

前述のように、今月初めにはビン・ズオンという南部ホーチミン市の近くで、工業団地が沢山ある所へ出張に行っていました。この時は、ユース・フォーラムという工業団地の工場で働く若者達のための会議に出るためで、100人近くの若者が集まってくれました。

トピックは国連人口基金の仕事に関わる「性と生殖に関わる健康と権利」という訳で、この点で若者達に日頃どういう困難があるのか、どういうサービスがあればいいか、というのを議論してもらいました。いろいろと話を聞いて、一番びっくりしたのが、彼らは学校で性教育を全くと言っていいほど受けていないということでした。私達の事務所では、昔ずいぶんと性教育の推進をやっていたと聞いたので…。(今はもうやっていなくて、日本で言う文科省との仕事は現在ほとんどありません。)でも、ベトナムの学校のカリキュラムはあまりに沢山の学科がありすぎる、というのが一般の認識らしく、新しいトピックを入れるのは難しいだろう(だから現在ある科目に入れる形しかない)という話も聞きました。

この会議の最後で、スピーチをするように言われて、私は性教育の大切さを訴えました。(ちなみに、一説によるとベトナムは妊娠中絶の数で世界5位とも言われていて、これも性教育をきちんと受けていない若者の望まない妊娠が多くあるからと言われます。)これを受けて、主催者だったユース・ユニオンの方が私の意見に強く賛成してくれて、「リツは日本というとても発展した国から来ている。日本からの意見、ぜひ聞き入れて、実行にうつそう」と言ってくれたのですが、正直複雑な気持ちでした。だって、私の経験では、日本の学校教育で性教育なんてほとんど皆無だったし、今でもちゃんと性教育が日本で行われているのか、疑わしい…。でも、どこに行っても、ベトナム人は日本人のことをものすごく高く評価している人が多く、この「日本効果」を上手に使わない手はない!と改めて思いました。他の国だったら「日本から来て、うちの国のことも知らないくせに」となるんだろうと思うのですが(フィジーで働いていた時はそういうことも言われました)、さすが開発援助でも直接投資でも、日本がベトナムに相当力を入れているからでしょうか…。性と生殖に関わる健康以外の分野でも、日本から学びたい、とよく言われます。例えば、少子化対策とか、高齢化対策とか…。「いやいや、日本も大変苦労しているところなんですよ、まだ教えられる状況じゃありません」と言いたくなってしまうところですが。

写真は、グループ・ディスカッションをもとに、参加者が自分たちの性と生殖に関わる健康に関する疑問や問題点を表現したものです。